《追加情報》熱中症対策義務化:身体冷却方法、周知方法等発表(通達)
令和7年6月1日より、企業に対して職場で適切な熱中症対策(「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」)を取ることが義務づけられました。罰則の適用もあり(6か月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金)、対象となる事業場は対策を行っています。
(参照: リーフレット公開「職場における熱中症対策の強化」について )
令和7年5月20日通達により具体的な対応方法等が発表されています。その内容を一部ご紹介いたします。
- 建設現場等で義務を負う事業者:
同一の作業場で複数の事業者が作業を行う場合は、当該作業場に関わる元方事業者及び関係請負人の事業者のいずれにも措置義務が生ずるものであること。 - 対象となる作業者:
労働者だけでなく、労働者と同一の場所において当該作業に従事する労働者以外の者(業務委託の方等)を含むものであること。 - 連絡・報告体制:
作業場の責任者等報告を受ける者の連絡先及び当該者への連絡方法を定め、かつ明示し、作業者が熱中症を生ずるおそれのある作業を行っている間、随時報告を受けることができる状態を保つこと。
<対応例>
● 責任者等による作業場所の巡視
● 2人以上の作業者が作業中に互いの健康状態を確認するバディ制の採用
● ウェアラブルデバイスを用いた作業者の熱中症のリスク管理
● 責任者・労働者双方向での定期連絡やこれらの措置の組合せ 等 - 「周知」の方法:
作業者に確実に伝わることが必要である。伝達内容が複雑である場合など口頭だけでは確実に伝わることが担保されない場合や、朝礼に参加しない者がいる場合なども想定されるため、必要に応じて、複数の手段を組み合わせて行うこと。
<対応例>
● 事業場の見やすい箇所への掲示
● メールの送付
● 文書の配布のほか
● 朝礼における伝達等口頭 - 「身体の冷却」方法:
<対応例>
● 作業着を脱がせて水をかけること(体外から冷却)
● アイスバスに入れること(体外から冷却)
● 十分に涼しい休憩所に避難させること(体外から冷却)
● ミストファンを当てること(体外から冷却)
● アイススラリー(流動性の氷状飲料)を摂取させる等(体内から冷却)
※この間、容態が急変する場合があることから、熱中症を生じたおそれがある作業者を一人きりにすることなく、他の作業者等が見守ることが重要であること。
労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(基 発 0 5 2 0第 6号 令和7年5月20日) より抜粋
義務化の対象は、WBGT28度以上、または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる事業所ですが、社内では対象とならなくても、出張先や外出先が対象となる場合も、会社に義務が発生するため対応が必要です。
まだ対応ができていない事業場は早急に対応しましょう。
《法改正の背景 ※通達より抜粋※》
夏期において気温の高い日が続く中、ここ数年は増加傾向にあり、令和6年における休業4日以上の死傷災害は、1195人と調査開始以来最多となっている。特に、死亡災害については、3年連続で30人以上となっており、労働災害による死亡者数全体の約4%を占める状況にあるなど、その対策が重要となっている。熱中症による死亡災害の原因の多くは、初期症状の放置、対応の遅れによることから、熱中症の重症化を防止し、死亡災害に至らせないよう、熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化を防ぐために事業者が講ずべき措置等について、新たな規定を設けるものである。