厚生労働省は、「年収１３０万円の壁」による働き控えの解消に向けたキャリアアップ助成金の拡充案を明らかにしました。有期労働者などの社会保険の適用を進める観点から、当分の間の暫定措置として「短時間労働者労働時間延長支援コース」を新設します。

同コースは、令和８年３月末までの暫定措置として運用している社会保険適用時処遇改善コースに加えて新設するものです。社会保険適用時処遇改善コースが１０６円の壁への対応として設けられているのに対し、新コースでは、年収１３０万円の壁も意識せずに働くことができる環境づくりを後押しします。

１０６万円の壁に比べ、壁を超える際により多くの保険料負担が発生することから、労働者の手取り収入を増加させるためには大幅な労働時間の延長または額面賃金の増加が必要になります。

このため新コースでは、３年間で最大５０万円を支給している社会保険適用時処遇改善コースを上回る助成額とします。有期労働者などが社会保険の適用を受ける際、労働時間の延長と賃金増加の組合せで労働者の収入を増加させる取組みを行った事業主に対し、２年間で労働者１人当たり最大７５万円を支援します。

同助成金を拡充する雇用保険法施行規則の改正は令和７年７月１日施行予定です。

《１３０万円の壁とは》
国民年金・国民健康保険の保険料の支払いが発生するラインです。
例えば、労働者の妻が１３０万未満の収入の範囲内で働いている場合、妻の健康保険証は夫の会社経由で発行され、ご自身で加入をする必要がないため、社会保険料の負担も発生いたしません。妻の収入が１３０万円を超えた場合、被扶養者ではなくなるため、ご自身で国民年金・国民健康保険の保険料の支払いが発生します。

《参考》
年収の壁まとめ（１００万円～２０１万円）
『年収の壁について知ろう』～あなたのベストな働き方とは？～　厚生労働省